ハゲ・薄毛になる原因はいくつもあります。よく知られているようにストレスが引き起こすこともあれば、AGAのようにすべてではないものの遺伝の影響が強いものもあります。原因として警戒しなければいけないにもかかわらず、意外に見落とされているのが栄養不足です。なかでも亜鉛は発毛・育毛に欠かせない栄養素です。

亜鉛の育毛効果

亜鉛は金属です。栄養素として考えた場合は、鉄や銅などと同じくミネラルの一種と考えるようにしましょう。

亜鉛 不足 薄毛になる?

亜鉛が不足すると引き起こされる症状には次のようなものがあります。

・味覚障害=舌で味を感じることができるのは味蕾(みらい)という細胞があるからです。亜鉛が不足するとこの細胞のターンオーバー(新旧交代)ができなくなります。
・免疫力低下=亜鉛は細菌やウイルスなどを攻撃する免疫細胞の働きを助けるだけではなく、それだけでもウイルスの感染が拡大するのを防ぐ効果もあります。
・成長障害=体の中では酵素が化学反応を促したり抑えたりしています。これにより細胞分裂も適度なスピードです進みます。亜鉛はこの酵素に欠かせない成分です。
・皮膚や粘膜の障害=皮膚や粘膜のコンディションを保つのにも亜鉛は欠かせません。かゆみや湿疹の原因がなかなかわからず、結局、亜鉛不足から来ていたということもあ少なくありません。
・生殖器のトラブル=亜鉛は男性の元気のためのサプリメントには欠かせない成分です。精子や男性ホルモンに含まれる成分にもなります。不足すると、男性側が原因の不妊症や、ED(勃起不全)を引き起こしたりします。

こうやって見ていくとわかるように、皮膚のコンディションを落とし、細胞分裂ができなくなるのですから、髪の毛は育たなくなり、せっかく生えているものも抜けてしまうのも当たり前といえるでしょう。

もっと直接的には、ケラチンがが合成できなくなります。ケラチンとはたんぱく質の一種で、髪の毛の主成分になっています。健康な髪の毛は水分が約10%か10数%で、80~90パーセントはケラチンです。「髪の毛はほとんどケラチンでできている」といってもいいぐらいでしょう。

「亜鉛が不足している状態では、どんなハゲ・薄毛対策も効果がない」と考えておきましょう。

亜鉛が不足する原因

亜鉛が不足する理由の第一は、もちろん食事の偏りです。多く含まれているのは肉類や魚介類なので、菜食主義やそれに近い食生活をしていると足りなくなる可能性が高いです。また、無理なダイエット(食事制限)も同様です。

また、豆類や穀物類に多く含まれるフィチン酸塩は亜鉛の吸収を妨げます。特に胚芽部分にたくさん含まれています。菜食主義の人たちや肉類を避ける人たちが好んで食べる食材なので、二重に亜鉛不足を招きやすいといえます。亜鉛が特に多く含まれている食材も一緒にとるように心がけましょう。

また、ポリリン酸・リン酸塩といっ食品添加物は亜鉛の吸収を妨げます。レトルト食品・インスタント食品・ファストフードなどではよく使われているので、こういった加工食品も避けたほうがいいでしょう。

また、ビールや日本酒などアルコール類を好む人も要注意です。やはり亜鉛の吸収が少なくなり、せっかくとっても尿に混じってすぐに排出されてしまいます。病気の治療などで抗菌剤や利尿剤を使っている人も同じように、せっかくとった亜鉛はすぐに失われてしまいます。

亜鉛のとり方

亜鉛不足の対策の第一はもちろん、亜鉛を多く含む食材を積極的にとることです。肉類・魚介類全般に亜鉛はたくさん含まれていますが、特に多いの牡蠣・アワビ・カニ・豚のレバー・卵・チーズなどです。

豆類は吸収を妨げるフィチン酸塩も含まれてはいますが、納豆・高野豆腐・アーモンド・落花生ならばそのマイナス面を超えるだけの亜鉛も含まれているのでおすすめです。

また、レトルト食品やインスタント食品などの加工食品を取るときは、それだけにするのではなく、亜鉛の多いものをメニューに加えるようにしましょう。お酒をのむのならば、やはりおつまみに一品加えることで亜鉛不足を軽くすることができます。

逆に亜鉛をとりすぎると、鉄や銅の吸収が妨げられます。貧血や神経障害につながります。ただし、一般の食材でとりすぎにまでなることはほとんどありません。気をつけるとしたら亜鉛配合のサプリメントです。所定の摂取量をしっかりと守りましょう。また、食事でたくさんとったときはサプリメントの量は減らしたほうがいいでしょう。

もちろん、ハゲ・薄毛対策としても逆効果になる可能性があります。

亜鉛 薄毛 女性にも効果はある?

亜鉛がないとケラチンを作ることができず、髪の毛の材料も得ることができないのは、女性も同じです。女性であっても亜鉛不足はハゲ・薄毛につながります。

女性の方がむしろ、菜食主義にこだわったり、ダイエットに集中したりする人も多いでしょう。先に申し上げたようにこれらは亜鉛不足と隣り合わせです。やはり、これらで不足する分の亜鉛はどこかで補充しなければいけません。

さらに女性だからこそ気をつけなければいけないのが、ほかのミネラル類も不足しがちな点です。月経のために血を失い、そのせいでミネラルも一緒に失ってしまうのです。亜鉛ばかりでく、鉄や銅などもバランスよくとれる食事を心がけなければいけません。

つむじ ハゲに 亜鉛は効果ある?

ネット上の口コミなどには「亜鉛のサプリメントを使ったら、つむじハゲが改善した」とする体験談もあります。あるいは、これが「つむじハゲ」ではなく、「M字ハゲ」という話になっていることもあります。特にAGAを意識して、「AGAでハゲ・薄毛になる過程の中でキーのひとつになっている5αリダクターゼの働きを押さえ込む」といった話まで見つかります。

「5αリダクターゼの働きを押さえ込む」というのが本当ならば、AGA治療専門クリニックで処方されるプロペシア(有効成分はフィナステリド)と同じ効果を持つことになります。しかし、残念ながらそういった医学的な研究はありません。根拠のない評判に影響された、過度な期待といえるでしょう。

また、つむじハゲやM字ハゲについては、半ばイエス・半ばノーといったところです。もし、それらが亜鉛不足が原因となっているのならば、亜鉛の摂取量を増やすことでハゲ・薄毛が改善する可能性は高いです。また、ほかのことが原因であっても、ハゲ・薄毛を解消する治療と同時に亜鉛の摂取量を増やすことで効果が上がりやすくもしてくれるでしょう。

ただ、医薬品のようなつもりで亜鉛をとったところで、ハゲ・薄毛が改善するものではありません。あくまで食事や栄養補助食品(サプリメントなど)で栄養素のひとつとしてとり、亜鉛以外の栄養素もバランスよくとってこそ、変化をもたらしてくれるものです。たとえば、良質のタンパク質も欠かせません。髪の毛の材料になるのがタンパク質ですから。

薄毛に亜鉛って逆効果なの?

亜鉛 抜け毛 増えたという声も

逆に「亜鉛をとり始めてから、ハゲ・薄毛がひどくなった」といった声も聞かれます。これも同じことです。医学的な検証はされていません。もし、サプリメントなどで1日の服用量を無視してまで使ったのならば、栄養バランスを崩してしまい、それが頭皮に悪影響を及ぼしたような可能性も考えてみなければいけません。

先ほど申し上げたように、亜鉛のとりすぎは鉄の吸収を妨げます。鉄は赤血球の重要な成分なので、これは血液の質を落とします。毛乳頭・毛母細胞にも十分な栄養が届きにくくなります。

また、こういった人の多くはは育毛剤や発毛剤などの外用薬や、発毛シャンPなどのヘアケア商品といったほかの方法も試しているでしょう。これらの影響も考えて見る必要があります。

他の成分との比較

薄毛 亜鉛 ノコギリヤシ

ノコギリヤシをハゲ・薄毛の対策に考えるのは、亜鉛からの連想でしょう。どちらも、男性の元気のためのサプリメントではおなじみの材料ですから。

ただ、大きな違いがあります。亜鉛はこれ自体がミネラルそのものです。亜鉛以外の成分があるわけではありません。

一方、ノコギリヤシは植物の一種です。北アメリカの南部、特にメキシコ湾沿岸にもともと自生しています。アメリカ先住民らはその実を食材の一種として食べてきました。また、現代では果実に含まれる脂肪酸やフィトステロール(植物ステロール)を医薬品に利用する研究も盛んです。特に前立腺肥大症への効果が期待されています。

この「前立腺肥大症への効果が」といえば、AGA治療薬に配合されるフィナステリドを思い出す人も多いのではないでしょうか。医薬品名としてはプロペシアです。こちらも元は前立肥大症の薬として開発されました。ハゲ・薄毛対策効果のあることが分かって、今はもっぱらAGA治療薬として用いられています。

「ノコギリヤシの入ったサプリメントを使えば、フィナステリド同様にAGA対策になる」と期待する人がいるのも無理のないところでしょう。ただ、この面での研究はあまり進んでおらず、今のところ、「AGAなどのハゲ・薄毛対策への効果がある」とする結果は出ていません。

ただ、血液をサラサラにし、皮脂の過剰分泌を抑えることは分かっています。これはハゲ・薄毛対策につながることも確かです。補助的な対策として、ノコギリヤシが配合されたサプリメントなどを使うのは考えてもいいでしょう。

薄毛 亜鉛 ビタミン

ビタミンの多くは体内で補酵素として働きます。酵素というのは、自分自身は変化することはなく、物質が科学的に変化するのを促進したり・抑制したりするものをいいます。これを助けるのが補酵素です。細胞が分裂したり、筋肉が動いたりなど生命の活動には必ず物質の化学変化が伴います。つまり、酵素や補酵素がないと生命活動自体がまったく成り立ちません。なので、ハゲ・薄毛対策に限らず、しっかりとビタミンを確保することは大事です。

特に亜鉛との関係でいえば、ビタミンCが重要です。亜鉛を体に吸収しやすいものに変えてくれます。亜鉛をたくさん含んでいる代表の牡蠣は、フライにしたときもナマのままで食べるときもよくレモンがつきものです。これは「無意識のうちに、非常に理にかなったことをやっていた」と考えていいでしょう。

まとめ

ほとんどの栄養素でいえるこですが、「○○対策に必要だから」というで、集中的にとることはやめましょう。余分になった分は尿などに混じっていた体外に出されるだけです。亜鉛の場合はそれだけではありません。鉄や銅などの吸収を悪くしてしまい、むしろマイナスになります。

栄養バランスのよい食事が基本です。その中で自然と亜鉛の吸収量が増えているのが理想でしょう。ただし、本当に亜鉛が足りていないのが分かっているのならば、サプリメントを決められた錠数の範囲で使うことも考えてみましょう。