AGAによる薄毛・ハゲを治そうと、薬を飲んでいるのに、その薬のせいで一層ひどくなるとショックですよね。

AGA治療の代表的な内服薬・プロペシアをのんだ人の多くが、一時的に抜け毛が多くなることが知られています。「プロペシアの初期脱毛」などと呼ばれます。しかし、それは副作用と呼ぶようなものではありません。もちろん例外の場合もありますが、通常はむしろ、「効果が出始めた」と喜んでいいような状況です。

プロペシアとは、どんな効果があるの?

プロペシアの効果

プロペシアはAGA治療のための飲み薬です。配合されている有効成分は「フィナステリド」なので、ハゲ・薄毛対策を考え始めている人のなかには、こちらの名前のほうがピンとくる人もいるかもしれません。

AGAでは、男性ホルモンから作られるジヒドロテストステロン(DTH)が毛乳頭細胞の中にある男性ホルモン受容体と結合し、ここから出るシグナルが髪の毛の成長期間を終わらせます。「十分に伸びないうちに抜けてしまう」ということですね。

このDTHができなくすることで、AGAを防ぐのがプロペシアです。

また、このプロペシアが効果を発揮するのは、ほぼAGAに限定されています。加齢やホルモンバランスの乱れ、ほかの病気によるものやその治療薬による副作用には関係ないことは注意しておきましょう。

プロペシアの歴史

ほかの治療薬でもたまにあるように、プロペシアの有効成分フィナステリドはAGA治療のために開発されたものではありません。

1991年、男性ホルモンを抑制する効果があることから、アメリカのメルク社が前立腺肥大症や前立腺がんの治療薬として研究を始め、翌年に「プロンスカー」として販売を開始しました。

その後、実際にプロンスカーを処方したに、「ハゲ・薄毛が改善した」という症例が多く見られ、そこからAGA治療薬として可能性が探られるようになりました。アメリカでは1997年にAGA治療薬の成分としても認定され、名前もプロペシアと改められました。

日本で認可されたのは2005年で、メルク社の日本法人・万有製薬(現・MSD)から発売されました。

2015年にはプロペシアのジェネリック薬品も発売されました。新薬としての特許が切れた後、同じ成分・効き目で作られる格安のものがジェネリック薬品です。フィナステリド錠0.2mg「ファイザー」と、フィナステリド錠1mg「ファイザー」という名前なので、これらも「内容としてはプロペシアと同じ」と考えておくようにしましょう。もちろん、副作用も同じです。

副作用の一つに、初期脱毛が指摘されている

プロペシアの効果の出方は、ストレートにはいかないことがよくあります。

プロペシアで初期脱毛が起きるメカニズム

髪の毛は休止期(髪の毛が抜けている状態)・成長期(髪の毛が伸び続けている時期)・退行期(髪の毛が生えていはいるが成長が終わっている時期)をこの順番で繰り返しています。これを「髪の毛の一生」や「毛髪のサイクル」「ヘアサイクル」と呼ぶことが多いです。

成長期は正常であれば2~6年です。AGAの場合は、短いとほんの数カ月です。それを放置しておくと、この成長期はどんどん短くなり、最後には発毛機能が全く失われてしまいます。

プロペシアを使うことで、毛母細胞が活発化し髪の毛を作り始めると、すでに退行期に入っている細くて弱々しい髪の毛は下から押し出されるようにして抜けてしまいます。これが「プロペシアによる初期脱毛」と呼ばれるものです。

もちろん、なにもしなくても髪の毛は退行期が終わると抜けていきます。プロペシアを使った場合は、下から押し出されての脱毛が一気に起こるので、「薬のせいで髪の毛が抜けた。頭の毛が薄くなった」と感じてしまうのです。

そう急に一気に変わるわけではありませんが、もしこのパターンで抜けているのであれば、以前よりはしっかりとした新しい髪の毛がいずれは生えてくるはずです。

初期脱毛ってどのくらい抜けるの?

まず、髪の毛の基本的な話として、抜け毛の数について知っておきましょう。

髪の毛は全部は多い人で13万本か14万本、少ない人でその半分程度、平均すれば10万本ぐらいあるとされています。年齢にもよりますが、正常な人の1日あたりの抜け毛は100本足らずとされます。これがAGAならば約300本に増えます。もちろん、AGAが進んですでに髪の毛の本数が減っていると、これよりも少なくなります。

プロペシアが効き始めるとこれが一気に500本まで増えます。倍近くにまで抜け毛が増えるのですから、気がついて危機感を覚えるのも無理のないところでしょう。

プロペシアと同時にミノキシジル配合の外用薬を使っている人も多いでしょう。血管をひろけることで血液の流れをよくし、毛母細胞を活性化させる効果があります。こちらの方も一時的に髪の毛が抜けてしまう方に作用することが多いです。さらに脱毛の本数が増えるでしょう。

ただし、これらのことは「一般的にそういうことが多い」という程度の話です。なかには脱毛の本数が一時的に増えることなく、そのまま薄毛・ハゲが改善する人もいます。

初期脱毛はいつから、いつまで続くの?

これもまた個人差がありますが、初期脱毛が始まるのは使用開始から1週間か2週間がひとつのメドです。また、1カ月ほどで初期脱毛が終わることが多く、比較的短い期間で済みます。

とはいえ、それは「抜け毛が増加している状況が終わる」ということです。その期間の終わりを迎えたときには、今まで以上に薄毛・ハゲが広がっている可能性が高いです。

となると、プロペシア使用開始前の髪形ではかなり無理になっているかもしれません。特に長髪にしている場合、見た目の変化の度合いが大きいです。もし、割り切ることができるのならば、前もって短髪にしておくのがおすすめです。少々抜けても薄くなっても変化がわかりにくいです。

また、薄くなり始めてから慌てるのではなく、事前に帽子など頭を隠すものを用意しておくのもいいでしょう。また、帽子はさらにダイレクトに頭皮に当たるようになった紫外線を防いでもくれます。

初期脱毛は回復する?

初期脱毛が終わったら、今度は新しく生えてくる髪の毛の髪の毛が増えてくる、または新しい髪の毛1本1本が太くなる、ということでハゲ・薄毛が改善します。

その時期がいつになるかも難しいところです。これもまたよくあるパターンでいえば、プロペシア使用後、3カ月ぐらいで頭皮に産毛が確認できるようになることが多いようです。もちろん、使用開始前と同じぐらいになる、または、使用開始前よりも濃くなるというのは、そこからまた時間が必要です。かなりの長期戦で考えたほうがいいでしょう。

また、なかにはプロペシアの効果が見られない人もいます。または、初期脱毛が全く見られないまま回復する人もいるので、「どうなったらプロペシアの効果が上がっている」かの判断は難しいです。自分では無理でしょう。専門家におまかせしましょう。

AGA治療クリニックの多くでは、初診から3カ月ぐらいで、効果があったかどうかの最初の判断をし、6カ月ぐらい後にもう一度診断をします。ここまでに変化がないと、別の治療方法も検討されるようです。

なかには、「半年後までには効果を出そう」と無理をし、勝手にのむ量を増やすような人もいるようです。または医師がプロペシアの服用をストップすると判断しているのに、あきらめきれずに服用を続けている人の例もあります。

かなり危険です。プロペシアには肝機能障害を代表に、本物の副作用があることが知られています。必ず医師の指示を守るようにしましょう。

プロペシアの初期脱毛の起きる確率は?

プロペシアにかんする臨床実験を行ったのはメルク社ですが、そのメルク社でさえ初期脱毛がどのくらい起こるかのデータは持っていないようです。あとは口コミで「経験者談」として伝わっているものを見て、推定するしかありません。

とはいえ、プロペシアを使った人が必ずしも、AGAとは限りません。ほかのことが原因でのハゲ・薄毛だったかもしれません。経験者談も当てにならないのです。

となると、初期脱毛になったら、「効果が出始めたのかも」と少し期待して、初期脱毛にならなくても、「このままハゲ・薄毛が改善に向かうのかも」と思っておくしかないようです。あまり神経質にはならず、確かな評価はやはり半年程度後の医師による判断を待つようにしたいものです。

プロペシアの初期脱毛は、前髪に出やすい?

「プロペシアによる初期脱毛が、前髪だけに特にはっきり現れた」という体験者もいます。実際にそうなるケースは多いと言えます。

というのは、AGAの症状の出方にはもともと2つ程度パターンがあります。

前頭部は特にAGAになりやすい(ハゲやすい)ので、初期脱毛もそれだけ激しく出やすい箇所なのです。

また、「頭頂部に比べて前髪は鏡などでも確認しやすい分、実際にはそう違いはなくても、少しの変化にも敏感になる」といった心理的な要因も理由の一つです。

まとめ

初期脱毛をよく知らないまま、プロペシア使用開始後に抜け毛が増えると、気落ちたり不安になったりしてしまってプロペシアの服用をやめてしまうような人もいるようです。しっかりと知識をつけ、こういったことは避けるようにしましょう。

また、プロペシアの影響があってもなくても、生活習慣が乱れている・食生活に偏りがある・ストレスが多いといったことでも、抜け毛が多くなります。同時に使っている育毛剤などの影響も考えられます。抜け毛が増えているようならば、こういった可能性も考えてみるようにしましょう。

また、信頼できる皮膚科やAGA専門クリニックを選ぶことも大事です。プロペシアによる効果が発揮されるまでにはかなりの時間がかかります。「担当医がいまひとつ信頼できない。相談するのもためらってしまう」「よそのクリニックのほうがよさそうだ」といったことが頭をよぎるようでは、落ち着いて治療に取り組むことができなくなってしまいます。