アメリカでは1998年、日本でも2005年に承認されて以来、プロペシアはAGAの治療薬として多くの人が利用してきました。

本来は皮膚科やAGA治療専門クリニックに行き、医師が処方せんを書かないと出してもらえない薬です。とはいえ実際には抜け道があって、個人輸入の形でも手に入ります。また、量やタイミングなど医師の指示を無視したのみ方をする人もいるでしょう。これらはとても危険です。プロペシアには副作用もあることは忘れてはいけません。

プロペシアの効果

AGAが発症する過程は少し複雑です。

一番最初の物質は男性ホルモンのテストステロンです。これが頭皮の中にある5αリダクターゼという酵素が作用し、ジヒドロテストステロン(DTH)へと変化します。さらにこれが、毛乳頭細胞の中にある男性ホルモン受容体と結びつくと、「髪の毛の成長をストップするように」という指示が出ます。これで普通なら2~6年の寿命がある髪の毛が、たった数カ月しかもちません。

この過程のなかでできるDHTができなくなるようにするのが、プロペシアです。つまり、「髪の毛の成長を促す」というよりは、「髪の毛が簡単に抜けないようにする」というための薬と考えていいでしょう。

「プロペシア」という名前は医薬品としてのものです。有効成分としては、フィナステリドです。これが5αリダクターゼの働きを弱めます。

このような効果の発揮の仕方なので、加齢によるものやストレスによるものなど、AGA以外のハゲ・薄毛に用いてもほとんど効果は期待できません。

もうひとつAGAでよく用いられる有効成分・ミノキシジルの場合は、「成長を促す」と「抜けないようにする」の両方の効果があります。ただ、AGA治療のためにどちらか一方を使う場合は、まずはフィナステリドを優先するのが一般的です。

プロペシアの副作用

フィナステリドはもともと男性ホルモンの働きを抑える効果があることは知られていました。そのため、前立腺肥大症や前立腺がんといった男性の疾病の治療薬として開発が始まりました。実際に使われているうちに、これらの患者のハゲ・薄毛が改善していることから、AGA治療薬としても注目されるようになりました。

このように男性ホルモンへの影響が大きく、副作用の多くもこれに関連したものです。ただし、ほとんどのものが、どういったメカニズムで体に悪影響を及ぼしているのかは、解明させていません。

肝臓に負担がかかる

「発症率は決して高くないが、プロペシアの副作用で最も警戒しなければいけないのが肝機能障害」とする専門家は多いです。

内服薬として使ったプロペシア(フィナステリド)は最後は肝臓で分解されます。この過程が関係している可能性はあるものの、実はどういった形で肝臓の負担になっているかは分かっていません。というのは、プロペシアに限らずほとんどの医薬品の成分が肝臓で分解されることは同じだからです。

最初はほとんど自覚症状はありません。しかし、やがて疲れやだるさを感じるようになり、さらには黄だんが出て皮膚や白目が黄色くなることもあります。こうやって自分でもわかるほどになると病状はかなり深刻化しています。放置しておくと、肝臓の機能が失われる肝不全に至ります。

このため、プロペシアの投薬を始める前に、まず肝機能の検査をしてスタート時の数値をチェックする医師も多いです。もし、その後の数値の変化次第では投薬をストップすることになります。

もし、担当医が肝機能の検査をしなくても、いくらかは自分でも気をつけることができます。一般的な健康診断での血液検査には含まれています。こちらの方を自分自身でチェックし続けるようにしましょう。

プロペシアで太るの?

ネット上などでは「プロペシアを使っていて、○キロ太った」という体験談が結構たくさん見られるのは確かです。ただし、どういった作用で肥満につながるのかは分かっていません。

また、それらが本当にプロペシアによるものかどうかも少し疑ってみる必要がありそうです。というのは、AGAの治療中の多くの人が、ミノキシジルの内服薬も併用しています。このミノキシジルの副作用としてむくみがあることは知られています。このむくみのせいで太ったように感じたり、あるいはむくみを放置して本当に体脂肪が増えてしまったりすることも考えられます。

子供への影響

プロペシアは基本的に男性に対して処方される薬です。なかには「今子どもを持ちたいと励んでいところ。と、同時にAGAによるハゲ・薄毛も解消したい」という男性もいるでしょう。

プロペシアは精子に影響を与えるものではありません。今、パートナーの妊娠を望んでいる人であっても、気にせずに使っていいとされています。

ただし、女性の側は要注意です。通常は使うことはないとはいえ、妊娠前・妊娠中の人がその影響による脱毛や薄毛を解消しようとして男性がもらったものを転用してはいけません。念のためにというのであれば、皮膚に触れることも避けたほうがいいでしょう。プロペシアは内服薬とはいえ、皮膚からの吸収されることが分かっています。

あくまで「可能性がある」といった程度の確率ですが、特に胎児が男の子の場合、生殖器の成長に悪影響を与えるかもしれません。やはり、プロペシアは間接的にとはいえ、男性ホルモンに働きかける成分なのです。

また、男性の側も「念には念を入れて、自分も服用をストップする」というのであれば、全く影響がなくなるまでのメドは1カ月です。これを過ぎると体内のプロペシアは全部、分解・排出されているでしょう。

頻尿

あまり実際につかっている人からの報告はないのですが、頻尿や残尿感については、むしろ改善すると期待していいでしょう。

というのは、フィナステリドはもともとは前立腺肥大や前立腺がん治療のための有効成分として開発されたものです。また、前立腺肥大や前立腺がんにつきものの症状が頻尿や残尿感なのです。

逆に実際に頻尿などが改善するようなら、前立腺肥大を疑ってみてもいいかもしれません。

また、こういった話からさらに、「前立腺が縮小してしまい、それが悪影響を及ぼさないか」といった心配をする人もいるようです。こちらの方で実際に問題になった例はまずはないようです。

血圧

プロペシアが高血圧・低血圧に及ぼす影響はほとんどないとされています。そのどちらであっても服用することには問題ありません。

ただし、併用されることの多いミノキシジルには要注意です。血管を広げる作用があり、またそれによる効果から増毛につながるとして使われる成分です。育毛剤・発毛剤の有効成分として知られるミノキシジルですが、内服薬の配合成分となることがよくあります。血圧に影響を及ぼすことが多いのは、内服薬として使用される場合です。

血管が広がれば、血液によってかかる圧力が減ります。つまり、「低血圧に傾く」ということです。高血圧の人はむしろ歓迎なものの、低血圧の人は症状を悪化させます。

ただ、高血圧にしても何が原因かで使っていいかどうかが変わってきます。担当医としっかりと相談したほうがいいでしょう。

がんの発症リスク

プロペシアに対して発がん性をはっきりと指摘する声はありません。ただ、「よく分かっていない」というのが正直なところのようです。

ただし、「プロペシアを服用していたせいで、各種の検査の数字が変わってしまい、がんを見落とす」という可能性はあるようです。特に問題になるのが、前立腺がんの場合です。有効成分のフィナステリドが前立腺がん治療のために開発されたものなので、検査値にも影響を及ぼします。

病院などで検査を受けるときは、かならずプロペシアを服用していることを必ず担当医などに伝えておかなければいけません。

また、ジェネリック薬品を使うときはほかの配合成分に注意したほうがいいでしょう。ジェネリック薬品とは新薬が特許切れし、ほぼ同じ成分・同じ効果で販売される格安のものをいいます。

プロペシアのジェネリック薬品のひとつに、フィンペシアがあります。これに着色料として使われているキノリンイエローがかつて発がん性を疑われました。ただ、これも「発がん性がないことが実証されていない」といった程度の話です。また、今出回っているフィンペシアではまずはキノリンイエローは使われていません。

とはいえ、このフィンペシアはあまりおすすめできません。個人輸入の形でしか手に入らず、トラブルがあったときの対処が難しくなります。ジェネリック薬品を使うにしても医師から処方せんを出してもらったものに限ったほうがいいでしょう。

性欲減退

性欲減退や勃起不全(ED)の報告もたしかにあります。医薬品メーカーの調査によると1パーセント程度です。

「プラセボ(有効成分を配合していない偽薬)」でも同じ程度の数字が出ることから、「ほとんど影響がない」ともいえます。

ただし、実際に身近に「性欲が減退した」といった話はよく聞かれる上、そうなるメカニズムが分かっていません。異変を感じたら軽視せず、すぐに担当医に相談したほうがいいでしょう。

プロペシアの副作用って治る?

少し前までは、プロペシアによる副作用は、服用をやめてしばらくたつと治るとされていました。しかし、2010年ごろからイギリスなどで、PFS(ポストフィナステリド症候群)が報告され始めています。

症状は精子減少、ED、うつ病、感情障害などさまざまです。服用をやめたあとも続いたり、あるいは服用をやめた後になって初めて出始めたりします。ただ、これも知られるようになってからまだ間がないので、そこからさらにどいういった経過をたどるのかなどはよく分かっていません。

プロペシアの副作用の確率は?

プロペシアの注意書きにはもちろん、副作用についても採り上げられています。蕁麻疹・血管浮腫など過敏症の類、睾丸痛・精液の質低下など生殖器のトラブル、AST(GOT)上昇・ALT(GPT)など肝臓の検査数値の悪化などです。ほとんどのものが「頻度不明」となっています。

例外が「1~5%未満」とするリビドー減退と、「1%未満」とする勃起機能不全・射精障害・精液量減少です。

「医薬品メーカーでもはっきりとしたことはいえない」といったところでしょう。

まとめ

プロペシアの副作用が起きる可能性は低いものの、決してないわけではありません。

よく分かっていないことばかりで、これからの研究を待たなければならないことも多いようです。それでもAGA治療の医薬品としてはプロペシアがもっともポピュラーで、頼らざるを得ないところでしょう。やはり服用する場合は、医師の診察を受け、処方せんを出してもらい、経過も観察してもらうようにしなければいけません。

また、2015年になって、ザガーロもAGA治療薬として認可されました。プロペシアと同じように5αリダクターゼの働きを抑制します。こちらにも期待のかかるところですが、いまのところザガーロの方が副作用が強いとみる専門家が多いようです。