ハゲ・薄毛治療によく使われる有効成分といえばフィナステリドとミノキシジルです。フィナステリドは医薬品としては「プロペシア」という名前で、内服薬です。もう一方のミノキシジルは育毛剤・発毛剤の「リアップ」の成分として知られてもいます。つまり、頭皮の上からふりかける外用薬です。

ただし、AGA治療専門クリニックのなかにはミノキシジルを内服薬として処方するところもあります。また、個人輸入代行業者を通して海外で内服薬として売られているものを手に入れて使う人もいます。「外用薬として使う以上の効果があった」とする人も多いものの、やや危険性もある使い方です。もし、内服薬として使うのであれば、こういったことは承知した上で十分警戒しながらにしなければいけません。

ミノキシジル タブレット(ミノタブ)とは

外用薬として使った場合のミノキシジル

まずは、一般的な使い方である、外用薬としてのミノキシジルについて知っておきましょう。

・ミノキシジルがハゲ・薄毛に効く理由

ミノキシジルがどういったメカニズムでハゲ・薄毛に効果があるのかは実はまだよく分かっていません。ただ、血管を広げることで血圧を下げると同時に、血液の流れをよくすることははっきりしています。これは内服薬として消化吸収されて血液に混じっても、外用薬として頭皮の外から染み込ませても同じです。

この効果から毛乳頭や毛母細胞といった髪の毛を育てているところにも、流れ込む血液が増えます。血液は各種の栄養素や酸素をもたらし、毛乳頭などの活動を盛んにしてくれます。どうやら、その結果として発毛を促し、いったん発毛したものも成長を盛んにさせると考える専門家が多いようです。

・ミノキシジルはもともと血管拡張剤

ミノキシジルは1960年代にファイザー社(当時の社名はアップジョン社)によって作り出されました。当初は高血圧を治療するための内服薬でした。その後、高血圧の患者の中に脱毛症が改善する人がたくさんいて、ハゲ・薄毛の治療薬としての可能性も探られるようになりました。ただし、内服薬としては副作用が発見されたため、すぐに外用薬に切り替えて開発されるようになります。これはやがて、「Rogaine」の名前で売り出されることになります。

・ミノキシジルが配合されている医薬部外品

日本で最初にミノキシジルが配合された外用薬を販売したのは大正製薬です。1999年にミノキシジルを1パーセント配合したものを「リアップ」の名前で製品化します。これは街の薬局でも売ることができる医薬部外品です。このリアップはシリーズ化され、次々に改良版が出ました。現行商品は「リアップX5プラス」などで、これはミノキシジルの濃度が5%まで高められています。

また、アンファー社も2018年にミノキシジルを5パーセント配合した「スカルプD メディカルミノキ5」の販売を始めました。

今のところ、ミノキシジルを配合している外用薬はこのふたつだけです。しかも、いずれも医薬部外品です。病院などだけで処方が許される医療用医薬品はありません。つまり、皮膚科やAGA治療専門クリニックで治療を受けても、出されるミノキシジル配合の外用薬は、リアップかスカルプDのどちらかです。

・フィナステリド(プロペシア)との違い

ミノキシジルの場合の効果の発揮の仕方は、「頭皮の細胞活動を盛んにして、毛乳頭や毛母細胞などもどんどん細胞分裂させる」です。

もう一方の代表的なハゲ・薄毛対策の有効成分、フィナステリドの場合はまったく違う効果の発揮の仕方をします。男性ホルモンのテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変化し、さらにいくつかののステップを経て、せっかく生えている髪の毛の寿命を短くするのがAGA(男性型脱毛症)です。この最初のテストステロンがDHTに変化するのを抑えます。

このように効果の発揮のさせ方がまったく違い、また、互いに作用を邪魔することがありません。そのためAGA治療の場合、両方を同時に使うのが一般的になっています。

また、フィナステリドの場合、効果を発揮するのはAGAに限られます。ミノキシジルはAGAだけではなく、いろいろな原因のハゲ・薄毛を改善させるのも大きな違いです。

ミノタブ(ミノキシジルタブレット)とは

・国が承認した薬ではないことに注意

ミノキシジルは「リアップX5プラス」や「スカルプD メディカルミノキ5」の配合成分として外用薬にするのが、厚生労働省の認めた使い方です。

しかし、現実には内服薬、つまり、飲み薬としてのものも出回っています。錠剤(タブレット)になっていることから、「ミノキシジルタブレット」や「ミノタブ」と呼ばれます。これは個人輸入代行業者が国外で販売されているものを輸入し、個人やAGA治療専門クリニックに転売したものです。

この販売方法・入手方法は法律違反ではありません。しかし、ミノタブそのものは国が安全性や効果を確認し、認めたものではありません。特に個人で購入した場合は、副作用などのトラブルがおきたり、あるいはまったく効果がなかったりしても、すべて自己責任です。クレームをつける相手はいません。AGA治療専門クリニックから出されてたものでも、基本は同じです。クリニックがどこまでセキニンを持ってくれるかは、慎重に考える必要があります。

・日本に入ってきているミノタブ

自己責任であるからには、さらにきちんと理解しておいたほうがいいことがあります。ミノタブをハゲ・薄毛の治療薬として考えているのは日本人ぐらいで、海外ではそうではありません。海外で製造・販売されているミノタブはあくまで、高血圧の治療薬です。それを日本に持ってきてハゲ・薄毛の治療薬に転用している形です。

ミノキシジルタブレットは、ミノキシジル(外用)よりも効果が高い?

確かに、ネット上には「ミノタブを使ったおかげで薄毛が解消した」「外用薬で使うよりも内服薬になっているもののほうが効果が実感できる」としている口コミもたくさんあります。しかし、これらはすべて、いわゆる「個人の感想です」と見ておくしかありません。

というのは、ミノタブの効果はまったく医学的には検証されていません。というのは、ハゲ・薄毛の治療薬として扱われていないのが影響しています。もし、国内でハゲ・薄毛の治療薬として販売するのなら、繰り返しの臨床実験が必要です。これで効果の具合や副作用の有無が確認されます。その結果、「問題がない」となって初めて一般への販売が許されます。しかし、個人輸入の形で入ってくるだけのミノタブにはそういった手続きが踏まれていません。

なので、「内服(タブレット)と外用(リアップなど)のどちらのほうが効果が高いか」も信頼できるようなデータはありません。「ミノタブの効果を検証してみた」というのも、医学の専門家によるものではなく、あくまで個人個人が自分でのんでみた結果の報告でしかないのは、十分に承知しておきましょう。

ミノキシジルタブレット 違い

個人輸入代行業者や一部のAGA治療専門クリニックを通して手に入れることのできるミノタブには1錠あたり配合量別に3種類あります。1日以上ずつのむのが基本なので、この配合量はそのまま1日の服用量と考えていいでしょう。

2.5mg

実際に使用してみた人の多くは、この配合量のものから始めるようにおすすめしています。それらの理由は、「量を増やしたところで、頭皮などの血流が飛躍的にアップするわけではなさそう。効果に変わりはない」「副作用が怖い」などです。

5mg

同様に、「2.5mgで効果がないようなら試してみましょう」とされていることが多いのが、この5mgです。

ただし、「いつ効果があったか・なかったかを判断するか」は難しい問題です。一応のメドになるのは6カ月でしょう。というのは、同じく内服薬のプロペシアなども一見効果がなくてもここまではしようを持続させることが多いからです。また、AGA治療専門クリニックに通院していて、ミノタブも医師の勧めで使っているのなら、もちろん担当医と相談するようにしましょう。

10mg

ミノタブの一部の説明書などには、「1日最大50mgまで服用可能」としているものもあるようです。しかし、これもおそらくは海外での高血圧の治療薬としての話でしょう。

また、注意しなければいけないのは、ハゲ・薄毛の治療薬に用いる場合は、数カ月どころか2年3年と使います。多くの場合、いったん効果が出ても服用をやめると元に戻ります。その分、副作用も出やすく、高血圧に用いるのと同じように考えるわけにはいきません。実際にハゲ・薄毛対策として使っている人の多くも、「やめておいたほうがいい」としているようです。

濃度は濃いほうがいいの?

外用薬のリアップは、登場したときはミノキシジルの濃度は1%でした。一方、海外で売られているRogaineはこれよりも濃度が高く、いっそうの効果を期待した一部の人たちが個人輸入の形で使っていました。今ではリアップも濃度を5%までアップしています。

確かにミノタブも濃度が高いほうが効果が高いと期待するのも無理はないでしょう。しかし、繰り返しの話になりますが、これについてのデータはありません。同時に、濃度が高いほど副作用も強いとも考えるでしょう。これも同様にデータはありません。いずれも、情報としては、「実際に使ってみた人たちが、自分の経験の範囲からいえることをネット上などに経験談として披露している」というのを参考にするしかありません。

耐性ができたらどうする?

薬を長く使っていると、耐性がつくことがあります。だんだんと効果がなくなってしまうのです。この理由のひとつとしては、有効成分が反応する受容体が減ってしまうのことがあります。もうひとつは、有効成分を分解する酵素が増え、すぐに体の中から消えてしまうことが知られています。

ミノキシジルについては外用薬として使った場合も内服薬として使った場合も、体が耐性を示すのかどうかは分かっていません。ただ、あったとしてもそう強力なものではなさそうです。「せっかくミノタブを使っているのに効かなくなってきた」という場合は、ほかの原因を探ってみるようにしましょう。よくあるのは、「髪の毛の成長サイクル(毛周期)が正常に戻る途中で、一時的に抜け毛のタイミングがそろってしまった」「生活習慣や食生活が一時的に悪化している」などです。

AGA治療専門クリニックに通っている人は、これもまた自分勝手な判断はせずに、担当医によく相談してみましょう。おそらくは耐性の可能性は否定されるはずです。

ミノキシジルタブレット 副作用に注意

特に血圧に問題のある人は要注意

ミノキシジルは外用薬よりも内服薬として使ったときのほうが副作用に対する警戒をしなければいけません。というのは、外用薬なら頭皮にふりかけるだけなので、副作用の出方はある程度限られます。一方、内服薬として使った場合、消化吸収されて血液に混じり、全身に回ります。それだけに、体のどこに影響が出てもおかしくないのです。

実際当初は内服薬として期待されていたのが、外用薬だけに限られるようになったのも、副作用の強さが影響しています。

外用薬として使った場合にミノキシジルで最もよくある副作用は頭皮のかゆみです。直接ふりかけ、しかも血行をよくするなので、これには違和感はないでしょう。ほかには、むくみ・頭痛・倦怠感・体重増加なども指摘されています。ただ、これらは本当にミノキシジルによるものかどうを疑問視する専門家も少なくありません。

これが内服薬であるミノタブとして使った場合は、もっとよく分かっていません。ただ、血圧に問題のある人は使用をやめておいたほうがいいでしょう。もともとが低血圧の治療薬だっただけに、低血圧の人はいっそう症状がひどくなる可能性が高いです。逆に高血圧の人も、すでに治療薬を使っているような場合は、両方の効果で血圧が下がりすぎてしまう可能性があります。

どちらであっても、血圧治療の担当医とハゲ・薄毛治療の担当医の両方にしっかりと相談し、その指示に従うようにしましょう。

ニセ薬や低品質のものも混じっているかも

ミノタブには副作用以外の問題もある可能性があります。国内でのチェックをしっかりと受けていない薬のために、ニセ物があってもそのまま流通している可能性があります。あるいは、品質が低いものも同様です。これらを使って効果がなかったり、体調が悪くなったりするかもしれません。これも自己責任になってしまいます。

自分で通販などで個人輸入代行業者から購入するよりも、できればAGA治療専門クリニックに通い、医師に処方してもらうようにしたほうがいいでしょう。厚生労働省のチェックを受けていないことでは同じです。しかし、医師が扱うからにはまだしも危険性には気が付きやすいはずです。

ミノタブが向いている人、向いていない人

フィナステリドがAGAに悩む人限定で効果があるのに対し、ミノタブは余り相手を選びません。それでも、限界があって、毛乳頭や毛母細胞がまだしも残っている人でないと効果を発揮しません。

たとえばAGAの場合、症状の出始めは、せっかく生えている髪の毛は通常は2-6年成長し続けるはずが1年未満になります。放っておくとさらにこの期間が短くなり、最後は毛乳頭や毛母細胞がまったくなくなってしまいます。

できるだけ症状が軽いうちに服用を始めることで、効果も確実になり、かける手間も減らすことができます。

服用の仕方

ミノタブはハゲ・薄毛の治療薬としては正式に認められたものではないため、正しいのみ方・効果の出やすいのみ方もしっかりと研究されているわけではありません。それでもほかの薬の状況から考えて、多くの人が実践しているのみ方があります。

・最初は2.5mg配合のものから始めて、のむのは1日1回。毎日同じ時間帯にのむ。増やすのなら、5mgのものを1日1回にするのではなく、朝と夕に2.5mgのものを1錠ずつのむ。そうすることで、血液中のミノキシジルの濃度が比較的一定に保たれる。
・ほかの薬でも同じだが、酔っているときはのまない。アルコールによる効果にミノキシジルの効果が加わり、血圧のコントロールが効かなくなる。同様に血圧のトラブルがある場合もミノタブの服用は避ける。
・痛み止め・ED治療薬・頭痛薬も血圧に対する変化をもたらすことが多いので、併用はしない。

まとめ

ミノタブは日本の厚生労働省が承認していない薬であることからも、十分に警戒したほうがいいことがわかるでしょう。確かに、通販などでも個人輸入代行業者が扱っているものが簡単に手に入ります。しかし、医療や医薬品に特段の知識がない人が自分だけで使うことはなかなかおすすめできません。

まずはミノキシジル配合の外用薬に、プロペシアなどをあわせて使うようにしましょう。ミノタブを試してみるのはそれからの話です。それもやはり、個人で手に入れて使うよりは、AGA治療専門クリニックに通って、医師の監督の下で使うほうがいいでしょう。トラブルが出たときも気が付きやすいですし、対処もすぐに始められます。また、「どうやら効かない」といった判断も、自分ではグズグズ延ばしてしまいがちですが、医師なら明確にできるでしょう。