AGAは少し前の言い方をすると、若ハゲです。しかし、正確には同じものではありません。原因を問わず、まだまだフサフサでいい年齢でハゲ・薄毛になった人は若ハゲと呼んでいいでしょう。

一方、AGAの場合は男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)が関係するものに限っていいます。

原因がはっきりしているだけではなく、最近では治療方法が大幅に進化しました。病院にかかりさえすれば治る可能性が大幅にアップしています。

AGAでは髪の毛が生えてこないのではなく、生えてもすぐに抜ける

AGAについて考えるには、まずは正常な髪の毛とAGAの髪の毛は何が違うかを知っておく必要があります。

髪の毛の一生

髪の毛に限らず体の毛には、休止期・成長期・退行期という3つの時期があります。退行期が終わると休止期に入るので、これをずっと繰り返すことになります。これは「ヘアサイクル」や「髪の毛の一生」などと呼ばれます。

それぞれ名前のとおりなのですが、休止期は毛穴に全く毛がない時期です。成長期は毛が生え始めさらにどんどん伸びていっている時期です。退行期は毛穴から毛は生えてはいるものの、すでに成長が止まっている時期をいいます。

髪の毛の場合、それそれの時間的な長さは順に、数カ月・4~6年・2~3週間です。

髪の毛の成長期が短くなるAGA

ところが、AGAになると4~6年あるはずの成長期が数カ月~1年程度と短くなります。つまり、髪の毛が十分に育つことなく、早めに退行期に移りやがて抜けてしまうのです。つまり、「生えてこない」のではなく、「生えてもすぐに抜けてしまう」という状況がAGAです。

ただし、これは発症した最初の状態です。放置しておくと成長期はさらに短くなり、やがては全くなくなってしまいます。こうなると治療は困難です。

できることなら薄毛に気が付いた時点でできるだけ早く治療を受けることを決意しましょう。

AGAになる原因。なりやすい人は注意

ジヒドロテストステロンが関係しているものがAGAですが、発症する仕組みは少し複雑です。また、一般的なハゲ・薄毛になる要因を持っていると、AGAが発症しやすくなったり、症状をいっそう進行させたりしてしまいます。なので、それら一般的な要因へも対策が必要です。

AGAの原因1  DHT

まず、男性はもちろん、量は少ないものの女性も、男性ホルモンの一種・テストステロンを分泌しています。これがなければ、性欲を高めたり、筋肉を増強したりできません。

このテストステロンが5αリダクターゼという酵素の作用によって変化したのが、ジヒドロテストステロンです。

これがさらに毛乳頭細胞のなかにある男性ホルモン受容体「アンドロゲンレセプター」と結びつくことで、今度はTGF-β(トランスフォーミング増殖因子-β)ができます。

このTGF-βが指令を送ることで、髪の毛は成長をやめてしまうのです。

長々書きましたが、「このテストテロンからTGF-βへと変化する過程のどこかを断ち切ることができれば、AGAも発生しない」ということになります。ただし、テストステロンは安易に減らしてはいけません。男性的な魅力をなくしてしまうことになります。

なので、対策をするとすれば、ジヒドロテストステロン以降です。たとえば、AGAの代表的な治療薬「プロペシア(有効成分としてはフィナステリド)」の場合は、テストステロンがジヒドロテストステロンへと変化するのを抑えるように働きます。

AGAの原因 2 遺伝

「5αリダクターゼの働きが高い」と「アンドロゲンレセプターがジヒドロテストステロンと結びつきやすい」といった体質は遺伝的な要因が小さくありません。そのために、「AGAは遺伝する」といわれているのです。

AGAの原因3  ストレス

ただし、遺伝的要因だけがAGAのなりやすさを決めているわけではありません。たとえば、ストレスもテストステロンがジヒドロテストステロンへと変化する量を増やしてしまうことが分かっています。もちろん、これもAGAを悪化させてしまいます。

また、ストレスそのものもストレートに髪の毛や頭皮に悪影響を与えます。つまり、髪の毛にとっては二重の悪影響になります。

原因4 生活習慣・食生活

喫煙

「二重の悪影響を与える」ということでは喫煙も同じです。やはり、ジヒドロテストステロンを増やします。同時に、血管から柔軟性を奪います。頭皮の中を流れる血液も量が減り、毛母細胞などは十分な栄養分を受け取ることができません。髪の毛も成長できなくなります。また、ビタミンやミネラルも大量に消費されるので、血液中の栄養分自体も少なくなります。

亜鉛

また、食生活次第でジヒドロテストステロンの分泌量が増えたり減ったりします。

ジヒドロテストステロンを減らす栄養分の代表は亜鉛です。牡蠣・エビ・納豆・レバー・ゴマ・牛肉などに大量に含まれています。また、亜鉛の吸収を助けるので、ビタミンB6を含んでいるピーナツや魚の赤みも一緒に取るといいでしょう。

ただし、亜鉛がいくら大量に含まれているからといって、牛肉など脂肪分の多い食材をとりすぎると、今度は皮脂の分泌量を増やしてしまいます。頭皮のベタつきは、髪の毛にマイナスなので、控えたいところです。

◆参考

AGAでのハゲ方の典型は「M字形」です。額の生え際、それも端の方から後退していきます。それよりは少なくなるものの、頭のてっぺんから薄くなるパターンもあります。ただし、これらだけでAGAと判断できるわけではありません。ほかのハゲ方も頭に入れておいて、しっかりと区別する必要があります。

AGA以外の薄毛リスト

老人性脱毛症

60代になると、だれしも髪の毛が薄くなるものです。血行も悪くなり、毛乳頭細胞の活動が低下するので仕方ありません。治療薬もほとんど効果を発揮しません。年齢以外の特徴としては、頭頂や生え際など特定の場所の頭髪ではなく、全体的に同時に薄くなることが挙げられます。

また、それよりも早く40代、50代で「壮年性脱毛症」に悩む人もいます。似たような名前ですが、これは老人性脱毛症とは違います。単に少し遅れて出てきたAGAを指すことが多いようです。つまり、「男性型脱毛症」でも「壮年性脱毛症」でも、同じくAGAのことです。

脂漏性脱毛症

分泌する皮脂の量が多すぎて、毛穴をふさぐことなどで起こります。30代、40代で発症することが多いようです。一度発症すると自然に治ることは困難なので、皮膚科で診てもらうほうがいいでしょう。

円形脱毛症

俗に「10円ハゲ」と呼ばれるのがこの典型です。10円玉ぐらいの広さの範囲で集中的に髪の毛が抜けます。ストレスによるものがほとんどですが、なかには免疫のトラブルが原因になっている場合もあります。

ストレスによるものであれば、そのストレスが解消すれば自然と抜け毛もなくなり、改善することがほとんどです。

薬物性脱毛症など

これら以外には、病気の治療のために飲んでいる薬の副作用による薬物脱毛症、自分の手で抜いてしまう抜毛症、毛包が化膿することによる瘢痕性脱毛症などがあります。

AGAは自然回復するの?

AGAが「自然に治った」という例はほとんどありません。生活習慣や食生活、ストレスなどが影響はするものの、それがメインの原因ではありません。「体調がよくなったから、AGAもよくなった」となるようなものではないため、そのままではよくなるきっかけがありません。

やはり、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

AGAが発症するきっかけ

AGAが始まる、つまり髪の毛が薄くなり始めたり、ハゲ始めたりすることを「AGAスイッチが入る」といった言い方もします。

第二次性徴期でスイッチが入ってしまう人も少なくありません。男性ホルモンが影響しているためにそうなるのです。年齢でいえば10代と意外に若いです。

あとは20代、30代、40代とスイッチが入る年代は幅広いです。先ほども申し上げたように40代なら壮年性脱毛症ともよく呼ばれますが、これもAGAの別名です。この年代になるのは加齢によりホルモンバランスが変化するためです。特に、成長ホルモンの分泌が下り坂になるのが影響しているようです。

まとめ

「頭の毛が薄くなってきた」と気がつくと、まずは市販の養毛剤・発毛剤などを毛髪にふりかける人も多いでしょう。しかし、それでは解決への遠回りになってしまいます。まずは診察を受けて、AGAかどうかをはっきりさせることから始めましょう。

一般的な病院であれば診療科は皮膚科です。それでもOKですが、より専門的な治療を希望するのであれば、AGA専門治療クリニックがおすすめです。AGA治療の最近の進歩はめざましく、多くのところで最新の治療方法が導入されています。