フィナステリドは有効成分の名前で、医薬品名としては「プロペシア」です。AGA治療で唯一の内服薬なので、AGA(男性型脱毛症)によるハゲ・薄毛の治療を始めた人のほとんどが使っていると見ていいでしょう。

決して危険な薬ではありません。かといって、医師の指示を無視して使っていいものでもありません。もし、これからAGA治療専門クリニックに行こうと思っている人は前もってフィナステリドについて調べておくようにしましょう。予備知識があれば、医師から示されたときにも、余裕を持って話を聞くことができるでしょう。

フィナステリドの効果は?

フィナステリドは、「発毛を促す」というのではなく、「生えてきた毛を長くそのまま成長させ続ける」という形で効果を発揮させます。

フィナステリドをのみ始めて

2~4カ月

初期脱毛は早い人は治療開始後2週間ぐらいから出始めます。そこから1カ月ぐらい続くことが多いようです。なので、2カ月といえば、それがようやく落ち着くころです。治療前と比べたら、かなり髪の毛が薄くなっているかもしれません。

しかし、気落ちせずにフィナステリドの服用を続けるようにしましょう。4カ月ぐらい経過した時点で、「新しい髪の毛も増えてきている」と実感できることが多いようです。

ただし、これには個人差があります。初期脱毛はほとんどなく、順調に髪の毛が濃くなる人もいます。あるいは、初期脱毛が遅れて出てきて、3カ月目ぐらいがもっとも薄くなっている時期の人もいるでしょう。あまり神経質にならずに、経過を見守るようにしましょう。

5~7カ月

このぐらいになると、多くの人が効果を確認できるようです。ただし、変化のない人もいます。その場合は、「このまま同じ治療を続けるか、違う方法を考えるか」を検討するタイミングでもあります。また、医師の方からもそういった話があるでしょう。

たとえば、フィナステリドの濃度を上げて服用を続けるのもひとつの方法です。あるいは、いくつかの有効成分をブレンドした液剤を注射する育毛メソセラピーなどに変更することも考えられます。

こういった判断は自分自身だけでするものではありません。医師としっかり相談しましょう。

8~12カ月

フィナステリドを毎日1ミリグラム服用する臨床実験の結果、1年間で効果が出た人が、58パーセント、2年間で68パーセント、3年間で78パーセントでした。

うまくいっている人は、このあたりで「もう、ハゲといわなくてもいい」といったぐらいまで改善します。一方で40パーセントほどの人が満足できるような結果にはなっていないことになります。2年間、3年間で数字がアップするのをみると、まだまだあきらめる必要はなさそうです。とはいえ、可能性は低いとはいえ副作用も心配しなければいけません。やはり、医師と十分に相談して、その指示に従うようにしましょう。

フィナステリド 効果 期間

「AGA治療の切り札」と見られることの多いのが、フィナステリドです。実際、AGA治療の専門家たちが作った資料、

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf

では、次のような結果が紹介されています。

内服1年=1日の摂取量1ミリグラムの場合58%、0.2ミリグラムで54%が軽度以上の改善 内服2年=1日の摂取量1ミリグラムの場合68%が軽度以上の改善

内服3年=1日の摂取量1ミリグラムの場合78%が軽度以上の改善

このデータの対象になったのは日本人男性414人です。長く続けるほど、しっかりとした効果があるのがわかります。

フィナステリド 効果実感

「効果があるのはわかったけれど、どのくらいから変化が現れるのか」は気になるところですよね。

おおよそのところ、早い人で使用開始後3カ月程度です。また、AGA治療専門クリニックなどで実際に治療を受けている場合、一応のめどとされるのは6カ月です。この時点で変化が見られない場合、そのままフィナステリドの服用を続けるか、あるいは服用はやめてほかの治療方法に切り替えるかの最初の判断をすることが多いようです。

フィナステリドとプロペシアの違い

フィナステリドは有効成分の名前です。それが配合された医薬品の名前はプロペシアで、錠剤になっています。どちらの名前になっていても同じものと考えていいでしょう。

ただし、プロペシアには1錠あたりフィナステリドが0.2ミリグラム含まれたものと、1ミリグラム含まれたものがあります。1日に1錠のむのが基本なので、そのままの数字がフィナステリドの1日あたりの服用量になります。

「慎重に試してみる」というのなら、0.2ミリグラムですが、AGA治療専門クリニックなどでは実際には1ミリグラムを処方することが多いようです。やはり、こちらのほうが高い効果が期待できます。

また、2015年にはプロペシアのジェネリック医薬品が登場しました。プロペシアを開発した医薬品メーカーの特許が切れたので、ほかのメーカーも作ることができるようになったのです。これらはまったく同じ内容のもので、それでいて値段はかなり安くなります。医師から勧められたら断る理由はまずはありません。

フィナステリドの弱点

AGAの症状の特徴は、「髪の毛の成長期が短くなる」です。正常ならいったん生え始めた髪の毛は2?6年伸び続けます。それがせいぜい一年程度しか続きません。この成長期を正常に戻すように作用するのがフィナステリドです。

まったく生えてこないのを刺激し、発毛させるようにすることはできません。これにはミノキシジルという有効成分が適しています。どのように作用するのかのメカニズムはまだよく分かっていないものの、血流を増やすことで毛母細胞や毛乳頭細胞を活性化させるようです。

医薬品名でいえば、「リアップ」のシリーズと「スカルプD メディカルミノキ5」です。これらには医療用はなく、街の薬局でも手に入るこれらしかありません。AGA治療専門クリニックなどで診察を受けても、使われるのはリアップなどです。

フィナステリドとミノキシジルは互いに効果の発揮の仕方が違い、またお互いを邪魔することもありません。そのため、AGA治療には両方を同時に使うのが一般的です。

フィナステリドの副作用

ただし、6カ月で効果がなくても、その後から出てくる可能性も高いのは、1年、2年、3年と服用を続けていれば、効果が見られる率が挙がっていることからもわかります。だからといって、「可能性にかけてみる」と簡単に判断できない理由もあります。可能性としては低いものの、副作用の恐れがあるのです。その副作用には次のようなものが知られています。

生殖機能の低下

具体的には性欲の減退、勃起不全(ED)、射精障害などです。

フィナステリドはテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)へと変化するのを抑えることで、AGAを防ぎます。ジヒドロテストステロンがさらに変化した物質が毛乳頭細胞に働きかけて、せっかく生えている髪の毛の寿命を短くします。「ジヒドロテストステロンができる量が減りさえすれば、AGAも起こらない」という仕組みなのです。

テストステロンは男性ホルモンの一種です。筋肉を増強させたり、男らしい要望を作ったり、性欲を高めたりします。また、ジヒドロテストステロンは男性ホルモンの働きが弱いときに、それを補うホルモンとして作られます。

となると、フィナステリドが性欲などを減らすのも一見無理がないように思えるかもしれません。しかし、「テストステロン自体には働きかけることなはい。テストステロンの量を減らすこともない」とされています。結局、今のところ「原因はわからない」とされています。

うつ

うつ病になったり、そこまで行かなくても、不安・だるさ・無気力などが見られるともされます。

テストステロンには精神的な活動を高める働きもあるので、ひょっとしたらフィナステリドには精神に影響する作用があるのかもしれません。しかし、これも具体的に解明されているわけではありません。

肝機能障害

医薬品のほとんどがそうですが、最後は分解して体の外に排出する必要があります。その分解の役割を担っているのが肝臓です。フィナステリドの場合は、毎日しかも長期にわたって服用することになります。肝臓への負担も大きくなります。

最初には、気分が悪い・食欲不振・微熱といった症状から始まることが多いです。放置しておくと最悪は、肝臓がんや肝硬変になるリスクまであります。

胎児への悪影響

フィナステリドは男性のための有効成分です。女性に処方されることはありません。しかし、家族が服用しているなどで、身近に置かれている場合もあるでしょう。間違っても、「自分も髪の毛が薄くなってきたから」といった理由で服用してはいけません。特に授乳中の人や妊娠中、あるいはその可能性のある人は触ってもいけません。皮膚からも吸収されます。胎児や乳児が男の子の場合、生殖器に悪影響を与える可能性が指摘されています。

一方、男性の場合は逆にこれから子どもを作るような人でも、医師から処方してもらえます。フィナステリドが精子などに混じったり、影響を与えることはないと考えられています。

前立腺がんの見落とし

正確には副作用ではありませんが、前立腺がんの疑いがあって検査を受けている人は要注意です。前立腺がんの指標となる数値が低めに出て、「問題がない」と判断されてしまう可能性があります。

フィナステリドはもともと前立腺がんや前立腺肥大の治療薬として開発されました。検査値に影響を与えるのも決して不思議なことではありません。ほかの病気の疑いの場合も含めて、検査を受けるときは必ず、フィナステリドを服用中であることを申告しておくようにしましょう。

併用している薬にも注意

AGA治療ではフィナステリドだけが投与されるとは限りません。特に一緒に使用されることが多いのはミノキシジルです。育毛剤・発毛剤の「リアップ」の有効成分として知られています。こちらにも血圧低下、めまい・ふらつき、心臓疾患などの副作用が報告されています。

治療を始めてから体調が悪くなったときに、どちらの副作用化を素人が決めるのは危険です。医師に十分に相談するようにしましょう。

身体の女性化

フィナステリドは、男性ホルモン・テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)がへと変化するのを抑えます。これはAGAが発症するメカニズムの一部です。ここからいくつかのステップがあって、せっかく成長しようとしている髪の毛の寿命を縮めます。

テストステロンは筋肉を増強したり、男性が男性らしい体つきにしたり、性欲を高めたりします。フィナステリドがテストステロンの量を減らすことはないとはされています。しかし、何らかの関連があるのも完全に否定されているわけでもありません。副作用として、男性らしさが失われるような例も見られます。

女性には服用禁止

フィナステリドは女性のハゲ・薄毛には効きません。なので、処方されることもありません。

もし、使うとデメリットばかりになります。特に心配なのは妊娠中の人や授乳中の人です。へその緒や母乳を通し、胎児や赤ちゃんにフィナステリドが入る危険性があります。先に紹介したようにフィナステリドは男性らしさを抑えてしまうかもしれません。特に男の胎児や赤ちゃん場合、ペニスや睾丸などの性器が発達しないことになりかねません。女児であってもホルモンバランスを崩して、どんな悪影響が出るかわかりません。

献血は禁止

同じ理由から、フィナステリド服用中の人は献血は禁止されています。血液中にフィナステリドが含まれていてます。それを女性に献血すると、濃度は薄まっているとはいえその女性がフィナステリドを服用したのと同じことになります。

また、女性たちは手に触れることさえ避けるようにしましょう。フィナステリドは皮膚からの吸収されます。

子供(未成年)にも服用禁止

AGAは早ければ10代からも始まります。できればフィナステリドを使いたくなる人もいるでしょう。

しかし、使用は禁止されています。AGA治療専門クリニックでも処方してくれません。安全性や効果が確認されていないのです。ほかの方法を試すようにしましょう。

フィナステリド錠のほうが効果が高い?

AGAの内服薬としては「プロペシア錠」が唯一のものです。その有効成分がフィナステリドです。ただし、2015年からは『フィナステリド錠0.2mg「ファイザー」』といったものも出ています。

ジェネリック医薬品とは

医薬品には先発医薬品と、後発医薬品があります。

先発医薬品は新薬とも呼ばれ、厳しい臨床実験などでその有効性や安全性がチェックされて初めて売り出すことができます。一方の後発医薬品はその新薬の特許が切れた後に、まったく同じ有効成分と効き目で作られたものをいいます。別名は、ジェネリック医薬品です。開発費を価格に上乗せしなくて済む分、安く販売することができます。おおよそ、新薬の3分の1~5分の1です。

プロペシアもすでに特許が切れました。2015年からジェネリック医薬品が出始め、現在では次のようなものがあります。

・フィナステリド錠1mg「ファイザー」
・フィナステリド錠0.2mg「ファイザー」
・フィナステリド錠1mg「サワイ」
・フィナステリド錠0.2mg「サワイ」
・フィナステリド錠1mg「トーワ」
・フィナステリド錠0.2mg「トーワ」
・フィナステリド錠1mg「クラシエ」
・フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」

それぞれ「0.2mg」と「1mg」があるのは、フィナステリドの服用の上限が1日あたり1mg、一般的な下限が0.2mgのためです。これはプロペシアも同様です。「ファイザー」や「サワイ」はもちろんそのジェネリック医薬品を作っているメーカーの名前です。

「同じ有効成分と効き目で作られたもの」なのでどれを選んでも同じです。値段の違いが多少あるようです。ただ、「自分でどれを選ぶ」といったようなものでもありません。クリニックからの説明を受けるだけで、そのおすすめに従えばいいでしょう。

個人輸入の注意点

プロペシアにしろ、「ファイザー」にしろすべて処方薬です。医師から処方せんを出してもらって、初めて販売してもらえます。

ただし、抜け道のような形で通販などで手に入れる方法もあります。個人輸入業者が扱っているものが売られているのです。購入することも違法ではありません。ただし、いくつか問題もあります。

・こういった海外の医薬品メーカーは玉石混交なので、品質が低いものが交じっている可能性も高い。
・問題があっても、相手は海外なので、責任を取ってもらうための交渉は限りなく不可能に近い。
・医師の監督下で服用するわけではないので、体にトラブルが出ても気が付きにくく、手遅れになる可能性がある。

つまり、「だれも責任を取ってくれない。何があっても自己責任。覚悟がないと手が出せない」と承知しておくようにしましょう。

まとめ

プロペシアの注書きには……

・リビドー減退=1~5%未満
・勃起機能不全、射精障害、精液量減少=1%未満

……と示されています。「リビドー減退」とは性欲減退のことです。

それら以外では、蕁麻疹・血管浮腫・睾丸痛・めまいなども挙げられていますが、いずれも「頻度不明」となっています。

要するに、「副作用については、あまりよく分かっていない」と認めざるを得ないでしょう。それだけに、医師とは常に連絡を取って、少しの異状でもすぐに対応できるようにしておいたほうがいいでしょう。